医療における現場改善ネットワーク - Gemba Kaizen Network in Health Care

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IHIとは

 The Institute for Healthcare Improvement(IHI)はボストンにあるNPOであり、現場での医療改革推進のためのサポート活動を行う団体です。主な活動には、医療機関や保険会社と提携した各種医療改革プログラム(「10万人の命のキャンペーン」など)や、国際フォーラムであるInternational Forum on Quality and Safety in Healthcareの共催事業、およびオープンスクールの提供などがあります。オープンスクールの生徒数は7万人を超え、関連団体は45,000にまで及んでいます(詳しくはhttp://www.ihi.org/about/pages/default.aspxをご覧ください)。
IHIの資金源は保険会社、製薬会社、政府からの寄付金およびオープンスクールの授業料です。一方で、活動で得た知識や経験を無料でウェブ上に公開し、幅広く知識を共有することもIHIの重要な方針の一つです。

IHI White Paper

 上記の方針に基づき、IHIはonlineでアクセスできる様々なwhite paperを無料で提供しています。改善計画、マネジメント、リーダーシップ、患者中心の医療など、現場での医療改革に必要とされるアイテムに焦点を当て、大小さまざまな視点・経験と成功例に基づく実践的な知識が提供されています。また、このWhite PaperではKai-zen、Muda、Sen-seiなど、海外が取り入れた日本の戦略も積極的に導入しており、私たち日本人にとっては親しみやすい内容かもしれません。
 CEOであるMaureen Bisognano先生はハーバード大学公衆衛生大学院の客員教員としてImprovement of Healthcareというコースを提供しており、「現場改善ネットワーク」はここでMaureen先生の授業に感銘を受け、「All teach, All learn (皆が師であり弟である)」の精神を日本へ紹介しよう、という熱意から始めたボランティア活動です。

本会の取り組み

 このように無料で提供されているwhite paperですが、残念ながら私たち日本人には、「言語」というもう一つの壁があります。現在の医療界にはまだ「英語を読める人にしかアクセスできない知識」がたくさんあるのです。
 しかし、日本人のノーベル賞受賞者をご覧になっても分かる通り、こと日本においては学識・教養レベルと英語能力は必ずしも相関するわけではありません。現在の日本の英語教育レベルで「英語が読めない人は参加できない」と切り捨てることは、医療の改善に携われる人材を限定し、徒に入り口を無駄に狭めているともいえるのです。
 日本には残念ながら、IHIが配布しているレベルの医療改革の知識を無料で配布している団体はまだ存在しません。私たちの試みは、とにかく日本人に日本語で医療改革を紹介してみよう、というものです。基本方針はPDSAサイクル(下記)、まず熱意を持って初めてみる、失敗したら学ぶ、そして改善する、という姿勢であり、いい加減ながらもとにかく始めてみた、というのが実情です。訳も分からないままIHIに駆け込んだところ、幸い快く翻訳許可が得られ、現在white paperの翻訳をまずは開始したところです。
 私たちはプロフェッショナルの翻訳者ではありません。読みづらい部分も多々あると思います。そして私たちの目標はあくまで言葉の壁の中の一番厚い部分を突破することにあります。拙い和訳ではありますが転用・改訂いただき、幅広く皆様と知識を共有できれば幸いです。

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